コロナが流行し「マスク」は、生活必需品となりました。毎日使うマスク、あなたはどのような基準で選んでいますか?安心・安全・衛生的で、感染予防効果の高いマスクを選びたいですよね。今回はマスク選びのポイントを、看護師がわかりやすく徹底解説します。
マスクの種類と機能
いまや生活必需品となった「マスク」。最近では、除菌や抗ウイルス加工だけでなく、小顔に見えたり、顔の印象が明るく見えたりする効果が期待できるマスクに人気が集まっています。また、さまざまな種類があり「違いがよくわからない」という人も多いでしょう。ここでは、よく見かける不織布マスク・布マスク・ウレタンマスク・そのほかのマスクについて、簡単に解説します。
不織布マスク
「不織布(ふしょくふ)」と呼ばれる、化学繊維をいろいろな方法で結合させてシート状に加工したものからできています。不織布が重なっているため隙間が少なく、正しく使用することで、高い感染予防効果が期待できます。使い捨てが原則で、経済的な負担やゴミが増えるなどの問題があります。
布マスク
ガーゼや綿素材などの布でできています。布の素材や色を自由に選んで、自分でも作ることができます。
ウレタンマスク
ポリウレタンからできていて、通気性がよく、小顔に見えやすいと若い人に人気のマスクです。
そのほかのマスク
コロナ対策用として有名になった「N95 マスク」や、工事現場で使用する「防塵マスク」など、用途に合わせたさまざまなマスクがあります。
看護師おすすめ「マスク選びのポイント」を徹底解説
さまざまな種類があるマスク。どのような基準で選べばいいのか迷ってしまう人もいるでしょう。実は、安心安全なマスク選びには欠かせない、2つのポイントがあります。多くの人が知らない、2つのポイントを看護師がわかりやすく解説します。
JISマークがある商品を選ぶ
2021年夏、マスクのJIS 規格が制定されました。JIS規格承認を受けているマスクは、衛生面や製品の機能などが保証されています。そのマークがついていることで、消費者は安心して購入できるようになります。
マスクのJIS規格には「JIS T 9001」と「JIS T 9002」の2つの番号があります。私たちが一般的に購入する不織布マスクや一般的なマスクには「JIS T 9001」とJIS規格のマークがついています。ぜひ、このマークがあるマスクを選んでください。
BFE・VFE・PFEをチェックする
BFE・VFE・PFEはマスクの性能をあらわしています。空気中の微粒子やウイルス、細菌が、マスクに使われているフィルター部分にどれだけろ過されたかを意味しているのです。数値はパーセントで表されていて、数値が大きいほど空気中の微粒子やウイルス、細菌を通しにくいことをあらわしています。
種類 | ろ過対象 | 特徴 |
BFE(Bacterial Filtration Efficiency) | バクテリア(細菌)ろ過効率 | インフルエンザウイルス、咳・くしゃみを伴う水分を含んだウイルスの飛沫(ひまつ)など約3μmの細菌を含む粒子をどれくらい除去するか |
VFE(Virus Filtration Efficiency) | ウイルスろ過効率 | 花粉や咳・くしゃみに伴う水分を含んだウイルスなど約0.1μm~5.0μmの粒子をどれくらい除去するか |
PFE(Particle Filtration Efficiency) | 微粒子ろ過効率 | インフルエンザウイルス、ウイルス単体(飛沫核)、結核菌ウイルスなどの約0.1μm未満の粒子をどれくらい除去するか |
例えばBFE99%と表示されていれば「約3μmの細菌を含む粒子を99%ろ過する」という意味になります。数値の高いマスクのほうが、さまざまな粒子を通しにくいので、数値の高いマスクを選んでください。
感染予防効果を高めるマスクの使用方法
せっかくマスクをつけるなら、感染予防効果を高める使い方をしましょう。ここでは3つのポイントをご紹介します。
使うなら絶対に【不織布マスク】
マスクの種類によって、防御効果は大きく異なります。
一番感染防止効果の高い素材は、不織布マスクです。次に布マスク。ウレタンマスクは一番感染防止効果が低く、Tシャツを2枚重ねたものとかわりません。
顔に合ったサイズをえらぶ
かならず、顔にフィットするマスクを選びましょう。素材や性能にこだわっても、顔とマスクの間に隙間があると、そこからウイルスが侵入してしまいます。マスクで口や鼻をしっかりとおおい、密着させることで感染予防効果を高めることができます。
厚生労働省は、動画で「正しいマスクのつけ方」を紹介しています。動画を参考に、正しいマスクの使い方をマスターしましょう。
正しいマスクのつけ方
「抗ウイルス・抗菌加工」に期待するよりも「こまめな交換」
抗ウイルス・抗菌機能の効果は、メーカーによって異なります。不織布マスクの場合には、繰り返し使うことは想定されていないため、使用方法によっては期待する効果が得られない可能性があります。くしゃみや咳などで汚れたり、食事などで長時間外したりしたら、新しいものに交換しましょう。こまめな交換が感染予防対策には効果的です。
現役看護師からのアドバイス
新型コロナウイルス感染症は、変異を繰り返しながら世界中で流行しています。ほかにも、インフルエンザや花粉症など、マスクを着用しなければならない状況はたくさんあります。適切なマスク選び、手洗い、消毒、換気は感染予防対策には欠かせません。みなさんも、普段から安心・安全・衛生的なマスクを適切に使用し、感染対策を心がけていきましょう。
参考文献
1)マスクの種類 と使用時の注意 日本衛生材料工業連合会 全国マスク工業会https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/cic/attach/briefing_h26-mat08.pdf
2)JIS規格とは JAS GROUP日本規格協会グループ
https://www.jsa.or.jp/whats_jis/whats_jis_index/
3)マスクの日本産業規格(JIS)が制定されました 経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210616002/20210616002.html
4)厚生労働省 4.マスク・消毒液に関するもの
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q4-1