[現役看護師の健康コラム]春のお悩み花粉症で目がかゆくなる理由と対処法

あたたかくなると、目のかゆみやくしゃみ、鼻水など花粉症に悩まされますよね。目のかゆみは、まぶたの腫れやメイク崩れにも繋がり、女性の春のお悩みの1つともいえます。今回は、花粉症の目のかゆみに注目し、最新の知見をもとに、症状を軽くするためのポイントを解説します。

目次

目のかゆみがおこる理由と特徴

花粉症で自覚する目のかゆみは、スギやヒノキなどのアレルゲンに対する体の反応で引き起こされるアレルギー反応です。

季節性のアレルギー反応で発症する目の症状を「季節性アレルギー性結膜炎」とよびます。なかでも、花粉で発症するものは「花粉性結膜炎」とよばれています。

花粉症で目にかゆみを感じる人は、全体の5割にのぼります。さらに、目のかゆみがある人の、8割に鼻炎の症状もあることがわかっていて、全身にさまざまな自覚症状としてあらわれています。

けれども、花粉が飛散しているからといって、誰もが花粉症になるわけではありません。

花粉に対するアレルギーを発症せず「一生花粉症にならない」という人もいるのです。あなたが、いつ花粉症を発症するかは、誰にもわかりません。

目のかゆみを完全に防ぐことはできない

残念ですが、目のかゆみを完全に防ぐことはできません。

けれども、目のかゆみを減らすためにいくつかの方法があります。

1つ目は「メガネを装着する」こと。

普通のメガネは、花粉量を40%減少させる効果が期待できます。さらに、防御カバー付きの花粉症対策用メガネであれば、65%花粉を減少させる効果が期待できるのです。

2つ目は「コンタクトレンズの使用を避ける」こと。

花粉が飛散している時期に、コンタクトレンズを使用すると、コンタクトレンズによる刺激がアレルギー性結膜炎の症状を悪化させる可能性があります。

目のかゆみが気になる方は、眼鏡を使用したほうが目に入る花粉の量も、目への刺激も減らす効果が期待できるのでおすすめです。

花粉症と新型コロナウイルス感染症を見分けるポイントは「目のかゆみ」

花粉症と新型コロナウイルス感染症の症状は、とてもよく似ています。新型コロナウイルス感染症は、目の充血はありますが、かゆみは自覚しにくいといわれているのです。目のかゆみがあるから、絶対に花粉症というわけではありませんが、見分けるための1つのポイントともいえます。

そのほかの、花粉症と新型コロナウイルス感染症を見分けるポイントを紹介します。

症状花粉症新型コロナウイルス感染症
目のかゆみありなし
目の充血ありあり
くしゃみ 立て続けに出る立て続けには出ない
鼻水ありあり
鼻づまりありあまりない
乾いた咳ゴホゴホと重い咳
平熱~微熱微熱~高熱
腹痛・下痢なしあり

また、外に出ると症状がひどくなる場合は花粉症の可能性が高くなります。

花粉症の薬の効果が実感できない場合には、新型コロナウイルス感染症の可能性が高くなります。

新型コロナウイルス感染症の感染を拡大させないためにも、症状には十分注意したいですね。

目のかゆみがひどくなる 3つのNG習慣

目のかゆみがひどくなる3つのNG習慣があります。あなたは、NG習慣をしていませんか?

1. 基本的な花粉症対策を怠っている

花粉が多く飛散する時期に、花粉症対策をせずに外出していませんか?1回の外出が短時間であっても、繰り返し花粉にさらされていると、どんどん症状が悪化してしまう可能性があります。

2.「目をこする」癖がある

目のかゆみを自覚すると、どうしても目をこすってしまいますよね。目がかゆくなると、ヒスタミンという「かゆみ物質」が放出されます。こすることで、さらにかゆみ物質がたくさん放出されてしまい、目のかゆみは余計ひどくなってしまいます。

さらに、目をこすると、目に小さな傷ができることがあり、痛みや違和感の原因につながり、余計に目をこすってしまうという悪循環に陥る可能性があるのです。

3.目薬を正しく使用しない

目薬を目がかゆいときに使っていませんか?かゆいときには目に炎症がおきているため、目薬の効果を実感しにくくなります。

目のかゆみが軽減できる 現役看護師が実施する3つのOK習慣

花粉症による目のかゆみを少しでも軽減するために、現役看護師が実践する3つのOK習慣を紹介します。

1.花粉に暴露する量を減らす

花粉症の症状をひどくさせないためには「花粉をできるだけ避ける」ことが重要です。

花粉は昼前後と夕方、雨の日の翌日や、風の強い日に飛ぶ量が増えます。花粉が多く飛ぶタイミングでの外出を避けましょう。ニュースや天気予報、SNSの「花粉飛散予報」も参考にしてください。

どうしても外出しなければならないときは、マスクやメガネ、帽子などで、花粉の付着を防ぎましょう。花粉は衣服にもくっつきます。ウールよりもツルツルした化学繊維のほうが、花粉がつきにくいため、洋服選びにも注意したいですね。

室内に入るときには、外で服や頭、バックなどの持ち物を軽くたたいて、花粉を家に持ち込まないようにしましょう。

2.はやめに治療を開始する

花粉症症状を自覚したら、はやめに治療を開始しましょう。目のかゆみには、内服薬よりも点眼薬(目薬)が効果があります。自分にあう薬がわからない場合は、内科・耳鼻科・眼科・アレルギー科を受診しましょう。

3.目薬を正しく使う

目薬を正しく使用することで、目のかゆみをおさえることができます。用法通りの回数目薬を使用し、目がかゆくない状態を保つことが理想的です。

また、目薬には使用期限があります。

病院の目薬市販の目薬
開封後1か月以内開封後3か月以内

開封した目薬は効果が切れているケースや、容器内で雑菌が繁殖し、目の感染症を引きおこしてしまうケースもあります。「去年の目薬がまだあるから使おう」は絶対にやめてください‼

現役看護師からのアドバイス

花粉症は急に発症する可能性がある病気です。正しい花粉症対策を心がけ、できるだけ花粉を避けることで、目のかゆみを軽減できます。さらに、花粉症の治療を適切におこない、目薬を正しく使うと、より症状を軽減する効果が期待できます。

コロナ前までとは異なり、くしゃみや鼻水などの症状があると、他人から白い目で見られることもあるかもしれません。新型コロナウイルス感染症の感染初期と見分けがつきにくいこともあり、今年の花粉症も軽視することはできません。

また、目のかゆみが強いと、目が腫れたりコンタクトレンズができなかったり、アイメイクのノリが悪かったりと、女性にとってマイナスポイントも多くなってしまいます。

少しでも症状を軽くして、今年の花粉症も乗り切っていきたいですね。

参考文献
1)花粉症マニュアル 2019 環境省
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2019_full.pdf
2)アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第3版)公益財団法人 日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=429&dispmid=909

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この記事を書いた人

看護師 保健師 糖尿病療養指導士
大学看護学部卒業後、小児・内分泌・循環器科で勤務。看護師として働きながら、知識と経験を活かし、医療ライター・監修者として活動中。

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