[現役看護師の健康コラム]本当は怖い!ヘアカラーが引き起こす頭皮トラブルの実態

女性の半数以上が経験しているヘアカラー。毎月、リタッチやカラーチェンジを楽しむ人も多いのですが、メリットばかりではありません。実は、皮膚が弱い人に限らず多くの人が、さまざまな皮膚トラブルを経験しています。今回はヘアカラーが引き起こす、皮膚トラブルの実態をくわしく解説します。

目次

ヘアカラーのトラブルは毎年200件以上!

消費者庁の調査によると、ヘアカラーによるトラブルは年間200件以上報告されています。けれども報告されているものは、ほんの一握り。頭皮の刺激や違和感なども含めると、相当数のトラブルが起きていると考えられます。

ヘアカラーによるトラブルを知らない人が多い 

ヘアカラーで頭皮のトラブルが起こることを知らない人が少なくありません。実際によく起こるヘアカラーのトラブルは、以下のような症状です。

  • かゆみ
  • 赤み
  • しみるなどの違和感
  • 痛み
  • 頭皮のただれ

消費者庁はヘアカラーをおこなう人の40%近くが、アレルギー症状などの頭皮トラブルが起こる可能性があることを知らなかったと報告しています。また、多くの人が「(ヘアカラーで)症状が現れない人はずっと無症状のままだと思う」と答えていました。。

実際ヘアカラーで異常を感じる人は、約15%にもなり(6人に1人以上)決して少なくはありません。さらにヘアカラーによる頭皮トラブルの中には、ちょっとしたかゆみや痛みを無視していたことで、突然重篤なアレルギー症状を発症したケースも多く、自分は絶対に大丈夫ともいえないのが実情なのです。

消費者庁も警告!

消費者庁はヘアカラー(染毛剤)が原因とされるさまざまなトラブルに対し、以下のようなポスターで警告をしています。

引用:見守り新鮮情報第237号「染毛剤による皮膚炎が起きています」(平成27年11月26日)(国民生活センター

また日本ヘアカラー工業会もホームページで、さまざまな情報を公開しています。

「自宅で染める方へ」
「理容室で染められる方へ」
「ヘアカラーによるかぶれかなと感じた方へ」

ぜひ参考にしてください。

1ヶ月以上続くトラブルも

ヘアカラーによるトラブルは数時間で治るものから、数ヶ月単位に渡るものまでさまざまです。原因となるヘアカラーリング剤を繰り返し使って症状が長引くケースや、とくに強いアレルギー反応や皮膚炎を起こしたケースでは、頭皮や顔・首周りの皮膚が綺麗に治るまでに時間がかかり、最悪の場合色素沈着やシミとなります。 

トラブルの多くは「ヘアカラーリング剤」が原因

ヘアカラーで起こるトラブルの一番の原因と言われているのが「ヘアカラーリング剤」です。ヘアカラーリング剤にはさまざまな種類がありますが、トラブルを起こすリスクは異なっています。順に紹介します。

ヘアカラーリング剤の種類と特徴

ヘアカラーリング剤は毛髪を染めるための製品の総称で、以下の種類と特徴があります。

分類染色方法細種類商品名染色方法特徴
染色剤(医薬部外品)永久染毛剤酸化染毛剤ヘアカラー、ヘアダイ、白髪染め、おしゃれ染め、アルカリフラワー染毛成分が毛髪内に浸透し毛髪を染める・色落ちが少なく長持ちする・色の変化をつけやすい
非酸化染色剤オハグロ式白髪染め鉄イオンの化学反応で髪を黒く染める・カラーの種類が少なくパーマもかかりにくい・現在は一般的ではない
脱色剤ヘアブリーチ過酸化水素水等によって毛髪内のメラニン色素を分解して脱色する・酸化染料を含まないため、アレルギー性接触皮膚炎を 引き起こすことは少ない
脱染剤ヘアライトナー毛髪内の染料とメラニン色素を分解して脱色する
染毛剤(化粧品)半永久染毛料ヘアマニキュア、酸性カラー、カラーリンス、カラートリートメント染料が毛髪の表層部に吸着し毛髪を染める・酸化染毛剤と比べると髪を傷めにくい・毛髪内にメラニン色素が残っているので、極端に明るい色にすることはできない・色落ちしやすい
一時染毛料ヘアマスカラ、ヘアファンデーション、ヘアカラースプレー、カラースティック着色剤を毛髪の表面に付着させて一時的に着色する・洗髪で簡単に色を落とせる・雨や汗でも色落ちする
引用:消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 毛染めによる皮膚障害 平成27年10月23日 消費者安全調査委員会 P17

酸化染色剤が一番頭皮トラブルを起こしやすい

一番頭皮トラブルを起こしやすいヘアカラーリング剤は『酸化染色剤』です。酸化染色剤ははもっとも広く使用されているカラーリング剤で、美容院のカラーリングだけでなくドラッグストアでも購入できるとても身近な製品です。

酸化染色剤に含まれるパラフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、パラアミノフェノール、トルエン-2、5-ジアミン。これらの物質は誰でも頭皮トラブルの原因となる可能性がある化学物質です。同じ人でも体調や皮膚の状態によって頭皮トラブルが起こったり、起こらなかったりもします。またアレルギー反応を1度起こしてしまうと、使用するたびに症状が現れ、どんどんひどくなるケースも少なくありません。1)

ヘアカラーで起こる頭皮トラブル

「ヘアカラーリング剤のトラブルなんて、しみたりするくらいでしょ」と思っていませんか?ヘアカラーで起こる特徴的な3つの頭皮トラブルを紹介します。

ケース1 刺激性接触皮膚炎

主な症状は痛み、かゆみ、発赤、水疱(すいほう )、腫れです。痛みを感じることが多く、 ヘアカラーをしてから比較的早く症状が現れます。

原因物質による化学的刺激や、摩擦による機械的刺激で皮膚に炎症が生じます。2)

ケース2 アレルギー性接触皮膚炎

主な症状はかゆみ、発赤、水疱(すいほう )、腫れ、痛みで刺激性接触皮膚炎と共通しています。症状から見分けるのは難しいのですが、ヘアカラーをした後から48時間程度で症状が現れることが多いのが特徴です。1)3)

引用:消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書 毛染めによる皮膚障害 平成27年10月23日 消費者安全調査委員会 P22

ケース3 アナフィラキシー

ヘアカラーの最中~30分後の短時間で皮膚のかゆみ、じんましん 、声のかすれ、くしゃみ、喉のかゆみ、息苦しさ、動悸、嘔吐、意識の混濁など全身にさまざまな症状が現れます。最悪の場合呼吸ができない、意識がなくなるなど生死に関わることも。

ヘアカラーリング剤のなかでも「酸化染色剤」はアナフィラキシーに注意が必要です。1)3)

ヘアカラーによる頭皮トラブルの予防と対処方法

ヘアカラーによる頭皮の重大なトラブルを避けるには、症状が軽いうちにアレルギーの可能性に気付き、原因となっている染毛剤の使用をやめる必要があります。

また事前にセルフテストやパッチテストをおこない、テスト液を塗った直後~30分程度に頭皮トラブルが現れないことを確認するのも大切です。

異常を感じたらただちに薬剤を洗い流し、速やかに医療機関を受診しましょう。

さらに、酸化染毛剤でアナフィラキシーを起こした人は、生涯にわたって使用すべきではありません。ヘアカラー剤でさまざまなトラブルが起こる可能性があることを、頭の隅にとどめておきたいですね。

看護師からのアドバイス

自分らしさや女性らしさのためにもヘアカラーは欠かせない方も多いでしょう。しかし、しみたり違和感を覚えるヘアカラーを続けると、重大な皮膚トラブルに繋がるリスクがあります。

化学物質による頭皮トラブルが気になって「ヘナ」などの自然成分由来のヘアカラー剤を選択する人もいるかもしれません。ただ、ヘナによる頭皮トラブルやアレルギーも複数報告されているため、どのような製品でもパッチテストをおこない慎重に使用しましょう。

ヘアカラーをやめたくない人も多いでしょうから、美容師に相談しヘアカラーリング剤を変更するなど少しでも頭皮トラブルを避けるようにしたいですね。

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この記事を書いた人

看護師 保健師 糖尿病療養指導士
大学看護学部卒業後、小児・内分泌・循環器科で勤務。看護師として働きながら、知識と経験を活かし、医療ライター・監修者として活動中。

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