季節を問わず多くの女性が抱えるお悩み「乾燥肌」。冬以外にも乾燥肌に悩んでいる女性は少なくありません。乾燥肌は化粧ノリを悪くするだけでなく、かさつきやかゆみの原因にもなります。乾燥肌には保湿剤を塗ればいいと思っていませんか?正しく保湿剤を使用しないと、乾燥肌はよくなりません。今回は乾燥肌が改善するスキンケアのポイントをわかりやすく解説します。
乾燥肌とは?
乾燥肌はどのようなお肌の状態か知っていますか?乾燥肌は医学的には「ドライスキン」や「乾皮症(かんぴしょう)」とよぶ皮膚の病気です。
顔だけでなく、全身に起こる可能性があります。
正常な皮膚は角質層が皮脂でおおわれています。皮脂は水分が失われるのを防ぐだけでなく、体内に細菌などの異物が入らない役割を持っています。さまざまな要因で水分を保つ機能や皮膚を保護する働きが乱れると皮膚が乾燥してしまい、乾皮症になってしまうのです。はじめは皮膚のつっぱりやかさつき程度ですが、症状がひどくなるとかゆみがでたり、皮膚がひび割れてガサガサになります。
乾皮症ってどんな状態?
この写真は、乾皮症の重症度をあらわしています。
スコア1は軽症です。一見何もないように見えますが、少し皮膚がかさつき粉がふいています。
スコア2はその次に症状がひどい状態です。毛穴の赤みやかさつき、キメの乱れ、角質のはがれが目立ちます。
スコア3はきめが大きく乱れ、皮膚の赤みや乾燥・亀裂が目立つようになります。このころにはかゆみも酷くなってきます。
多くの人がイメージする乾燥肌は、この程度ではないのでしょうか?
最後のスコア4は一番重症な状態です。皮膚がひび割れかゆみが酷くなります。かき壊しによる湿疹や皮膚の傷ができています。このままの状態が続くと、かき壊した部分が色素沈着したり傷が残ったりします。
原因は?
代表的な乾燥肌の原因は気温・湿度の低下による乾燥、洗いすぎによる皮脂欠乏による皮膚のバリア機能の低下です。そのほかにも、以下の原因があります。
- ターンオーバーの乱れ
- 誤ったスキンケア
- 硬いタオルでゴシゴシ洗う
- 高温のシャワーや入浴を好む
- 電気毛布を使う
- お酒や香辛料の刺激物
乾燥肌の改善には保湿剤の使用も重要ですが、原因となる生活習慣を改善する必要があります。心当たりがある人は、肌をゴシゴシ洗うのを辞め、高温のシャワーや電気毛布による肌の乾燥を防ぐなど生活習慣を一つひとつ見直しましょう。
乾燥肌についてもっと知りたい方は、こちらのクイズにもトライしてみてください。とっても勉強になりますよ。
乾燥肌には保湿を意識したスキンケアが大切
症状にあわせて保湿剤を正しく使用することが、乾燥肌の改善に欠かせません。保湿剤の働きや使用の際に気を付けたいポイントを理解しましょう。
保湿剤の働きは?
代表的な医薬品の保湿剤は大きく分けて3つの種類があります。
皮膚の水分が逃げないように“ふた”をする | ワセリン製剤 | ・油膜が皮膚をおおう・被覆性は高いがべたつく |
皮膚に浸透して水分をたくわえる | ヘパリン類似物質製剤(例:ヒルドイド) | ・角質に水分を補給する・持続的な効果が見込める・軟膏・クリーム・ローション・フォーム・スプレーなどさまざまな種類があり、好みによって使い分けやすい |
尿素製剤 | ・角質に水分を補給する・皮膚が荒れていると、刺激を感じやすい |
「乾燥したからヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド)を使う」 のではなく、皮膚の状態にあわせて保湿剤を使い分けたり、併用したりすると乾燥肌の改善が期待できます。
毎日塗り続けるには『塗りごこち』が鍵
「塗り薬はべた付くから使いたくない」という人もいるでしょう。塗りごこちが悪いと、毎日使い続けるのは苦痛ですよね。実は、多くの人に愛されているヒルドイドは4つも製品タイプがあり、製品によってにおいや性状・質感が異なっています。
種類 | ベタつき | 特徴 |
---|---|---|
軟膏 | 多い | 皮膚をおおう効果が高いべたつきやすい、洗い流しにくい 傷があってもしみにくい |
クリーム | やや多い | べたつきにくく、水で流せる |
ローション | やや少ない | よくのび、塗りやすい |
フォーム | 少ない | 泡タイプなので皮膚にのばしやすく、塗りやすいオイルフリーでニキビ肌でも使える |
私は背中や二の腕が乾燥しやすいので、「フォーム」のヒルドイドを愛用しています。以前使用していた「軟膏」は洗ってもうまく落ちなかったり、服に貼り付いたり、足の裏に塗ると滑ったり……マイナスな点が多く毎日塗り続けられませんでした。
医師のアドバイスを受けフォームに替えたら、以前の悩みが全て解決され、お風呂上りに毎日塗り続けられています。
「べた付くのが嫌!」という人は医師や薬剤師にぜひ相談してください。マイベストな保湿剤がきっと見つかります。
塗る部位にあわせて製品を選ぼう!
製品を選ぶ際にもう一つ気を付けたいポイントがあります。
それは、塗る部位に合わせた製品選びです。
軟膏やクリームは皮膚を覆う効果が高く、水仕事などの日常生活でも落ちにくい特徴があります。そのため手などに使用するのがおすすめです。
フォームやローションは皮膚を覆う効果はあまり高くありませんので、手に使用するのは向いていません。しかしうすくのばしやすく塗りやすいため、背中などの広い部位におすすめです。
保湿剤は『正しい量』を塗ろう!
保湿剤を塗っても効果が実感できない人の多くが、正しい量を使用していないという研究報告があります。
指先1関節分(0.5g)の量で塗れる範囲は手のひら2枚分です。意外と塗れる範囲は少ないですよね。
必要な量の塗り薬が塗れているかをチェックする方法も紹介します。
・塗った部分が光っている
・ティッシュペーパーがくっつく
みなさんぜひ、ティッシュペーパーをくっつけてみてください。普段よりも多く塗っても、なかなかティッシュペーパーはくっつきません。しっかりと塗って、はやく乾燥肌を治しましょう。
現役看護師からのアドバイス
乾燥肌に悩む女性の多くが、保湿剤を使用しスキンケアに力を入れているでしょう。乾燥肌の改善に特別なことは必要ありません。乾燥肌の原因となる生活習慣を見直し、正しい量の保湿剤を使うだけでも乾燥肌は改善します。
さらに、スキンケアの継続には使い心地のよい、使いやすい製品にするのも大切です。何を使えばいいかわからない人は、医師や薬剤師に相談してください。
健康な肌のターンオーバーは約4週間かかります。今日の保湿の本当の効果を実感するには、少し時間が必要です。
きれいな肌になるまで、諦めずに正しい方法でスキンケアしてみませんか?
参考文献
1)日本皮膚科学会『皮脂欠乏症診療の手引き 2021』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/131/10/131_2255/_pdf/-char/ja
2)ヒルドイド製品情報
https://www.maruho.co.jp/medical/products/hirudoid/index.html